脳・神経機能センターの診療について(松島俊夫センター長による神経血管圧迫症候群・もやもや病に対する治療

三叉神経痛―その病態と治療法―

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顔の感覚の神経支配は、三叉神経です。(図-1、2)三叉神経に神経痛が起こると顔面が痛みます。しかも神経痛なので、発作性に繰り返します。

 典型的三叉神経痛の特徴は、(1)片側の三叉神経支配領域(片側顔面)に起こる発作性の反復する激痛。(2)痛みの持続は1秒から30秒くらいと大変短く、1日に数回おき、時として数ヶ月から数年の休止期があるが再発する発作性。(3)会話、食事、洗顔、歯磨きなど顔面の運動で誘発される顔面痛。(4)顔面や口腔内に触れると発作を起こす引き金となる部分、トリガー・ポイントがあり、触れると痛みが誘発されるなどです。特に神経痛の発症早期は歯痛と紛らわしく、よく似ています。私共の所へも歯の治療で改善せず、それで三叉神経痛と診断された患者さんが多く受診されます。(表-4、図-3)

 三叉神経痛には、原因から見て、脳腫瘍などがあって発症する症候性のものと(図-4、5、6)動脈硬化を起こした血管が三叉神経を圧迫して起こる本態性のものがあります。(図-7、8) 後者の本態性のものは、神経血管圧迫症候群の一つです。

三叉神経-顔面感覚
図-1

三叉神経の支配領域
図-2

表-4

三叉神経痛の特徴
  • 片側顔面の痛み(三叉神経の支配領域)
  • 発作性の痛み(一回が数秒から数分)
  • 痛みは電撃様(針でさされるような、灼けつくような)
  • 痛みは誘発される。(食事、会話、歯みがき、洗面等)
  • 間欠期には、症状、痛みはまったく無い。
  • 薬テグレトールが効く。


図-3

脳腫瘍(類上皮腫)による三叉神経痛
図-4

三叉神経鞘腫による三叉神経痛
図-5

動脈瘤による三叉神経痛
図-6

上小脳動脈による三叉神経圧迫
図-7


図-8

三叉神経痛の治療法、特に神経血管減圧術(つり輪牽引法)

 三叉神経痛の治療法は、原因によって異なります。脳腫瘍などが原因である症候性のものと、動脈硬化をおこした血管が神経を圧迫して起こる本態性で違うわけです。(表-5)

 原因が脳腫瘍による患者さんの治療法は、腫瘍摘出です。

 血管圧迫による多くの三叉神経痛の治療法には、薬物治療、ブロック治療、外科治療と定位的放射線治療(ガンマーナイフ)の四つがあり、痛みの程度、患者さんの年齢、全身状態により治療法を選択致します。(表-5、6) 最初は薬による薬物療法から始め、最後の治療法がガンマーナイフ治療です。

 神経血管減圧術による外科的治療は、副作用のため薬が継続できない場合や、患者様が若く根治療法を希望された場合に行います。手術は耳の後方から毛髪線に沿って約5cm切開しますので剃毛は手術側の耳介後部のみで十分で頭部全体を剃髪することはありません。 三叉神経を圧迫している小脳動脈を確認し、神経を再度圧迫しないように血管を移動させます。私は過去20年間圧迫血管の減圧法を改良し、現在では圧迫動脈を小脳テントへ縫いつけた糸で作ったつり輪で牽引して良い成績を得ております。(図-9、10)この減圧法によって95%近い典型的症状の患者の痛みが消失または改善します。しかし、安全と言われる神経血管減圧術も頭を開いて手術しますし、合併症も全ったく無いわけではないので、担当医とよくご相談下さい。

三叉神経痛疑い患者の治療方針
表-5

表-6

特発性三叉神経痛の治療法
  • 1薬物治療(テグレトール)
  • 2神経血管減圧術
  • 3神経ブロック
  • 4ガンマー・ナイフ治療(高齢者)


図-9

神経血管減圧術-つり輪法
図-10

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