脳・神経機能センターの診療について(松島俊夫センター長による神経血管圧迫症候群・もやもや病に対する治療

もやもや病…もやもや病とは

トップに戻る

6.もやもや病にはどんな治療法があるのでしょうか?

-様々な治療法のメリット、デメリット-

もやもや病の治療法には、大きく分けると以下の3つの治療方針があります。

1.基礎治療(生活指導など)
2.内科的治療(薬物治療)
3.外科的治療(脳虚血に対する血行再建術)

 基礎治療はどのような患者さんにも有用で、かつすぐに実行できることが多いため、皆さんにおすすめしていますが、内科的治療と外科的治療にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。そこで、担当の医師との相談の上、どのような治療方針を選択するのかを決定していく必要があります。

1. 基礎治療(生活指導など)

A. 発作並びにその誘因のチェック:病状日記の開始
B. 一過性脱力発作の誘発動作(過呼吸、涕泣、笛・ハーモニカの演奏など)の回避
C. 貧血の改善、血圧コントロール(特に高血圧)
D. てんかん発作に対する治療

 基礎治療としては、まず発作の誘因となる?泣(泣くこと)、楽器演奏(ピアニカ、ハーモニカ、リコーダーなど)などの動作を避けることが重要です。子どもさんではご両親へ、そのような動作を取らせないように指導させていただいています。子どもさんの場合は、泣かせないようにするため教育や検査・治療に難しい面があります(教育の問題については別項:「8.もやもや病の患者さんのしつけや教育現場で気を付けること」を参照されてください)。症状を詳細に観察すると一過性脱力発作の誘発因子をみつけたり、脳循環の低下がひどい部位とその程度が推測できるので、患者さんやご家族に病状日記をつけてもらっています。また、てんかんで発症された「てんかん型」の患者さんの場合には、てんかん発作を軽減させる治療薬の内服も基礎治療として行っております。

2. 内科的治療(薬物治療)

A. 虚血型---抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)の内服
B. 出血型---血圧コントロールのため降圧剤(血圧の薬)の内服

 もやもや病で狭窄に陥った血管では、血液が固まった血栓を形成することが頻繁に見られます。薬物治療は、この血栓の形成を予防し、脳が脳梗塞に陥ることを防ぐ目的で、抗血小板薬(血液を固める作用のある血小板の作用を弱くする薬、血液がサラサラになります)を内服していただきます。患者様にとって薬を飲むだけですので、負担が軽く、症状が軽い一過性脱力発作で、頻度も少なければ、手術は行わないで側副血行路が発達するまでしのぐ意味で、行うことがあります。しかしながら、症状が急速に進行する方では脳梗塞を起こし、永続的な障害を残す恐れがあり、早期に外科治療を検討する必要があります。

 他方、内服薬に関しては副作用の問題があります。抗血小板薬にもいくつかの種類があり、血液成分の減少を起こすことや血圧が急に低下してショックを起こしたり、「ライ症候群」と呼ばれるけいれんや意識障害と肝臓の機能障害を起こすなどの副作用が知られています。どのような種類の薬剤でも血小板の機能を低下させることは共通しています。そのため、副作用として出血をしやすくなる出血傾向を起こしますが、通常の生活で問題となることはあまりありません。ただし、手術を行う必要があったり抜歯などをする際には、出血が止まりにくくなっていますので注意が必要で、担当医師から歯科医などへ連絡を取ってもらった方がよい場合があります。

 また、大人の方にみられる出血型では弱いもやもや血管に負担がかかると、破れてしまったり、動脈のこぶ(動脈瘤)ができたりすることがあるため、血圧が高い方は降圧薬を内服していただきます。しかし、下げすぎてしまうと、細い血管への血液の流れが悪くなってしまいますので、「高すぎず、低すぎず」という微妙なさじ加減が必要になります。

内科的治療(薬物治療)のメリット
1. 侵襲を伴わない
2. 血栓形成を予防できる
3. 脳循環を改善できる
4. 安価である

内科的治療(薬物治療)のデメリット
1. 進行例や重症例に対して、無効なときがある
2. もやもや血管の血行動態は変化しない
3. 薬の副作用が稀にある

3. 外科的治療(脳虚血に対する血行再建術)

 もやもや病に対する外科的治療として、我々が行っているバイパス術には大きく分けると2つの方法があります。

A. 直接的と間接的血行再建術の併用
B. 複合間接的血行再建術(間接法のみ)

 手術法(手技)についての詳細は、別項「もやもや病の手術とは?」でご紹介いたします。

 外科的治療は、入院が必要なこと、部分的でも剃毛が必要なこと、合併症として脳梗塞、髄膜炎等の危険を伴うことなどが欠点として挙げられます。そのため、無症状の方や発症初期の軽症の方に適応はありません。しかしながら、多くの患者さんで内科的治療に比べて劇的な症状の改善、一過性脱力発作の消失や脳梗塞の予防が期待できます。外科的治療は、当初は直接バイパス術の浅側頭動脈—中大脳動脈吻合(バイパス)術で始まりました。しかしその後、他の疾患と異なり直接血管をバイパスせずとも接触させると外頚動脈系から新生血管が脳へ容易にできることが判明し、間接バイパス術の開発が始まりました。もやもや病の患者さんでは、髄液の中の血管増成因子が増加しているのです。それで直接バイパス術を行っても、間接法も追加するのです。直接バイパス術は、血管同士を直接吻合するため確実な効果が期待できますが、反面、血管の細い子どもさんの場合は施行困難なことがあり、術後合併症を起こすと重篤な障害を残すことがあります。他方、間接バイパス術は手技は比較的やさしく安全ではありますが、側副血行路の形成がご本人の血管の新生能力に任せるという意味で不確実であり、新生せず、手術の効果が上がらない方もおられます。間接バイパス術を用いた場合、そのことを理解して術後経過観察が必要です。間接バイパス術は様々な手法が各施設で行われていますが、不応例を減らすため当施設では2ヶ所の違った部位へ浅側頭動脈前枝と後枝と前頭筋と側頭筋を用いて違った3つの術式を施すという複合間接法を行っております。複合法は、広い範囲に側副血行路形成が期待できることと、前大脳動脈領域の血流改善が得られるという利点があります。更に間接バイパス術の不応例を減らすには、脳血流検査のSPECTやPETでバイパス手術適応並びに手術部位を考慮しなければなりません。我々の経験では、酸素摂取率が上昇したmisery perfusion(ミザリーパーフュージョン:貧困灌流)部に間接的バイパス術を行うと、側副血行路形成が良いと考えています。(もやもや血管が破れることにより発生する脳出血例に対するバイパス術については後に述べます。)

外科的治療(血行再建術治療)のメリット
1. 側副血行路を広範囲に形成できる
2. TIAなど臨床症状を劇的に改善することができる
3. 脳梗塞を予防できる
4. もやもや血管の血行動態負荷を軽減できる

外科的治療(血行再建術治療)のデメリット
1. 手術に伴う合併症の危険がある
2. 有効な症例(病期)に制限がある
3. 入院加療を要する
4. 美容的に術後一時期問題がある

 もやもや病に対する治療方針は、臨床症状が軽いものに対しては内科的治療で経過観察し、進行するものは脳循環代謝検査の評価によりバイパス術の適応を検討します。虚血型の外科治療法に関しては、成人の方には可能な限り直接バイパス術を、血管吻合が困難な子どもさんには間接バイパス術を行っていますが、直接バイパス術を行う場合も間接法を追加して、より確実性を期しています。

<出血例とそのバイパス術治療効果について>

 もやもや病出血例の年間発症率は0.5人/100万人、日本全体で年間60人程度の発生と考えられています。脳出血成人例に血管のタンコブである脳動脈瘤が見付かる方も稀にありますが、大半は動脈瘤が見付からず、脳室内出血で発症されます(写真)。再出血が起こる確率は、30−40%と考えられています。

 治療法として、虚血型に対してバイパス手術が有効なことは証明され認められていますが、重篤な後遺症を残す出血型は外科的治療法が確立されておりません。もやもや病における脳出血の原因は、側副血行路の脆弱なもやもや血管が出血源で、これに増加した血流による負担が掛かり出血するのではないかと考えられています。これは、もやもや病の脳出血の多くが脳室内に起こり、もやもや血管が脳室の壁を走っているからです。それゆえバイパス手術で脳血流の流れを変えると、もやもや血管にかかる力学的負荷が軽減し再出血を予防できるのではないかと考えられています。但し、これを科学的に解明した研究はまだありません。

 そこで、出血発症成人もやもや病に対する直接法によるバイパス手術の再出血予防効果を科学的に確かめるためJapan Adult Moyamoya (JAM) Trialが、厚生労働省特定疾患対策研究事業の一環として2001年より多施設で開始され、現在進行中です。非手術例における再出血率30〜40%をバイパス手術により10〜20%まで押さえれることを証明しようとの研究です。近々、出血発症例に対するバイパス手術(直接法)の効果が明らかにされるものと期待されます。

写真1                                         写真2

【写真1:脳内出血  写真2:動脈瘤】

7.もやもや病の手術とは?

もやもや病の手術には、大きく分けると
1)直接法
2)間接法
の2つの術式があります。

1)直接法

 頭の皮膚に酸素や栄養を供給している「浅側頭動脈」という動脈と脳の表面の動脈を直接つなぐバイパス手術のことです。酸素が不足した脳に対して、逆行的に血液を流すことで、酸素を供給する手術です。我々の施設では、成人の患者さんには、こちらの直接法をお勧めしています。また、成人の患者さんでも、側頭部の筋肉をバイパス手術(血管吻合術)と同時に脳の表面に置いてくる「間接法」のEMSを追加する手術を行っています。

我々が行っている直接法の術式は、
STA-MCA anastomosis + EMS (浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術+側頭筋を脳の表面に置いてくる手術)です。

 実際の手術の手技としては手術に先立ち、超音波検査で皮膚の上から浅側頭動脈の位置を確認します。次いで、動脈を損傷しないように、耳の前あたり(もみあげの中)からやや後ろに回りながら、「?マーク」を横にしたような皮膚切開を行います。「浅側頭動脈」を皮膚側に付けたままで、皮膚の下の筋肉からはがします。その後、血管を損傷しないように、この血管を皮膚からはがして、バイパスのために確保します。次に筋肉を切開して、頭蓋骨を一部外します。すると、脳を包んでいる膜である「硬膜」が見えてきます。もやもや病の患者さんでは、この硬膜を栄養している血管からも脳への血流がある場合があります。脳の血流が不足しているもやもや病の患者さんでは大事な血管ですので、頭蓋骨を外したり、硬膜を切開して脳を露出させるときには、細心の注意を払っております。

 脳を露出させると、脳の表面に脳を栄養する血管の一つである「中大脳動脈」の末梢が見えてきます。この血管と、先ほど確保しておいた「浅側頭動脈」をつなぐのが「浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術」です。言葉でいうのは簡単ですが、実際には、これらの血管は直径が1mmほどしかなく、この血管を顕微鏡で見ながら、髪の毛よりも細い、肉眼ではほとんど見えないような細い糸で、8針~12針縫い上げる手術で、難易度の高い手術です。さらに、われわれの施設では、浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術を行った後に、側頭部の筋肉を脳表においてくるEMSも同時に行い、確実を期しています。最後に、いったん外した骨をチタン性の金属で、周囲の頭蓋骨に固定して、皮膚を縫って手術終了です。頭部の皮膚を栄養している血管を脳の中につないだのですから、今度は頭皮の血流が悪くなってしまいます。そのため、皮膚がうまくつかない「縫合不全」を起こすことがあります。われわれの施設では特にその危険性が高いと考えられる患者さんには、形成外科医の協力のもと、皮膚の縫合を行っています。

【直接法、浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術のイラストレーション(正面像】

2)間接法

 直接血管をつなぐバイパス手術ではなく、頭の皮膚を栄養する血管や側頭部の筋肉や頭蓋骨の骨膜などを脳の表面に「置いてくる」手術です。もやもや病の患者さんの脳は酸素が不足していますので、酸素を欲しています。そうした酸素が不足した脳の表面に筋肉や血管を置いてくると徐々に血管が新生され、酸素が不足した脳に血液が供給されるようになるという特徴がもやもや病患者さんにはあります。そのことを利用した手術です。繰り返すようですが、直接血管をつなぐ手術ではありませんので、確実性という面においては直接法に劣る面があり、2割ほどの患者さんで手術後も血流の回復がみられないことがあります。また、成人の患者様では新しく血管が新生する力が弱くなっておられる方も多く、成人の方にはお薦めしない手術法です。しかし、「血管を切ってつなぐ」という手技が必要ありませんので、安全性という面では勝っています。そこで、我々の施設では、もやもや病のお子さんにはこの「間接法」をお勧めしています。別項(もやもや病の病期・・・)でも、お話ししましたが、もやもや病では脳の前の方から後ろの方に向かって、脳の虚血が進行していきます。そこで、我々の施設では、頭の前の方と横側の2カ所に間接バイパスを行う「複合間接血行再建術」を行っております。もし、間接法でうまくいかなければ、間接法に用いた浅側頭動脈を用いて直接法へ変更するやり直し手術を行います。

 我々が行っている間接法の術式は、複合間接的血行再建術、frontal EMAS (encephalo-myo-arterio synangiosis) + temporo-parietal EDAS (encephalo-duro-arterio synangiosis) and EMS (encephalo-myosynangiosis)です。

 「前頭部には前頭筋と浅側頭動脈の前頭枝を脳の表面に置き、側頭部には浅側頭動脈の頭頂枝と側頭筋を置き、硬膜に縫い付けてくる手術」です。

 実際の手術の手技としては、直接法と同様に手術に先立ち、超音波や3D-CTAで浅側頭動脈の走行を確認しておく必要があります。浅側頭動脈は下図のように耳の前から頭頂部に向かって走っていますが、額側に向かう前頭枝と後ろ側に向かう頭頂枝の2本に分かれます。その血管の走行に合わせて血管の上の皮膚を切開します。皮膚を裏返しにできるようにどちらも「Uの字型」に皮膚切開を延長します。皮膚の下の血管を周囲からはがして確保します。ついで筋肉も切開して骨を露出させます。骨を外して、硬膜という脳を包んでいる膜を露出させます。硬膜には直接法でもお話したように酸素が不足している脳に酸素を供給している可能性のある血管が走っていることがあります。そのため、細心の注意の上で頭蓋骨を外したり、硬膜に切開を加える必要があります。下の図のように硬膜に切開を加えたり、一部の硬膜を外して、そこに動脈や筋肉をあてがい、脳の表面に置いてきます。その後、外していた骨を戻して、チタン製のプレートで周囲の頭蓋骨に固定して、皮膚を縫って手術終了です。この方法でも直接法と同様に、頭皮に栄養を供給していた血管が脳の表面に置かれてしまうため、皮膚の血流が悪くなり皮膚の「縫合不全」を生じてしまう可能性があります。また小さなお子さんの場合には、皮膚も薄く縫合も困難なこともありますので必要に応じて形成外科医の協力の下に、皮膚の縫合を行います。

【Fig.1 Courses of the anterior and posterior STA branches and locations of skin incision(dotted line)and frontal and temporo-parietal craniotomies.(SA:anterior STA branch; SP:posterior STA branch; BF:bone flap) : 複合間接バイパス術のイラストレーション 皮膚切開と骨窓形成。浅側頭動脈の前枝・後枝とそれらの関係を示している。】 

    

【Fig2 EDAS and EMS in temporo-parietal region.  A:Start of skin incision and exposure of STA posterior branch through cut-down technique. B:Formation of galeal flap with STA posterior branch and posterior extension of skin incision. C:Anterior shift of galeal flap and craniotomy. D:Exposure of dura mater. Middle meningeal artery, and dural incision(dotted line). E:EDAS and EMS in temporo-parietal bone opening. F:Replacement of bone flap. (G:galea; D:dura mater; MMA:middle meningeal artery; MF:muscular and periosteal flap) : 側頭・頭頂部のバイパス(EDAS+EMS)】

【Fig.3 EMAS in frontal region. A:Skin flap formation and exposure of STA anterior branch. B:Formation of muscle flap with STA anterior branch and frontal bony opening. Dotted line indicates dural incision. C:EMAS in frontal bony opening. D:Replacement of the frontal bone flap. (SF:skin flap; MF:muscle flap) : 前頭部のバイパス(EMAS) 】

8.もやもや病のお子さんのしつけや教育現場で気をつけること

保護者の方や幼稚園、学校の先生など患児と一緒に生活される方々にとって知っておかなければならい重要事項は、一過性脱力発作とそれに対する対処です。一過性脱力発作とは、子どもさんが泣いたり、ハーモニカを吹いたり、熱い汁を冷ますためフーフーと吹くというような呼吸により誘発され起こる数分間の手足の脱力やしびれのことです。この麻痺は数分間で元に戻りますので、「一過性」脱力発作と呼ばれます。このような発作を繰り返している間に脳梗塞を生じ、手足の麻痺・言語障害・知能障害などの後遺症を残すようになります。そこで、一過性脱力発作の誘因となる行為、「泣く」、「ピアニカ・ハーモニカ・笛の演奏」、「風車・風船・ストローの使用」や「歌を歌う」などの過呼吸となる行為を止めさせなければなりません。子どもさんの場合、命に関わることは少ないのですが、後遺症を生じることがあるので、決して予後が良いとは言えません。発作を見つけることやしかって泣かせてはいけないことなど、なかなか難しい面も持っていますが、しつけ、教育現場での脱力発作を取り上げてみます。

 もやもや病の子どもさんの症状ですが、一過性脱力発作や脳梗塞による片麻痺や言語障害等の症状を示すものが80%以上です。繰り返すようですが、子どもさんにしばしばみられる一過性脱力発作は、過呼吸と絡んで出現します。この一過性脱力発作を繰り返すと、発症から1~2年の初期の頃には他の子供同様に普通の学級生活が出来ていたお子さんが、5~6年以上経つと授業についてゆけなくなり、日常生活で介助を必要とする子供さんも出てきます。軽い方で高次機能障害をおこしていることがしばしばです。

 もし一過性脱力発作が疑われたら、手足に麻痺がないかをみるため、両手をあげさせたり、片足立ちをさせます。麻痺があれば、手をあげたり、片足立ちが出来ません。そして脱力発作であれば、胸元を開け普通の呼吸がしやすいような状態にします。発作時の観察が治療に役立ちますので、次のことを注意深く観察して下さい。

  • 1.意識はしっかりしているか、名前が言えるかどうか
  • 2.症状は何か(言語障害か?手足の麻痺か?)
  • 3.手足の麻痺であれば、四本のどの肢に麻痺があったか、右か?左か?
  • 4.症状は何分間持続したか
  • 5.何が誘因となったか(泣いたり大声ではしゃいだなど)

などです。

 数分後、発作が回復したのを確認するには名前を言わせ、再度手足に麻痺がないかをみます。もし、30分以上たっても症状が改善しなければ、かかりつけの病院へ急いで連れて行って下さい。また、意識がないのであれば、痙攣発作か出血が疑われます。一過性脱力発作で意識がなくなることはありません。この場合は救急車ででも至急、病院へ連れて行く必要があります。

 また、幼稚園、小・中学校の先生方へ、特に音楽、体育などの実技を伴う教科の先生へ次のようなことをお願いしておかれた方が良いでしょう。

  • 1.誘因となる行為、ピアニカ・ハーモニカ・笛の演奏、風車・ストローの使用等を止めさせてもらいます。
  • 2.数十秒や数分間でおさまる一過性脱力発作を見逃さないようにしてもらいます。
  • 3.マラソンや水泳のようなスポーツでの過呼吸ではあまり脱力発作は生じませんが、稀にはあるので注意を払ってもらいます。
  • 4.音楽会、運動会の応援などで大声を出し一過性脱力発作を生じることもありますので、そのような催しの際には特に注意してもらいます。
  • 5.発作があれば、観察した発作の内容を保護者の方へ知らせてもらいます。
  • 6.発作がひどく病院を受診する可能性の高い子どもさんの場合は、緊急で行く病院も予め相談しておきます。
  • 7.嘔吐を伴うような頭痛の場合、昼寝をとらせてもらいます。ただし、意識がおかしければ病院へ連れて行かなければなりません。
  • 8.意識障害でボーとしたため子どもさんが尿を漏らすことがありますので、失禁の際は意識障害がなかったか気を付けてもらいます。
  • 9.外見上はまったく普通の子どもさんでも、しばしば集中力に欠け、知能障害のため記憶力、計算力も低下していますので、その点を理解して指導してもらいます。
  • 10.慢性期の子どもさんでは、手足の麻痺ではなく、一瞬目が見えないというような視野の一過性発作が生じることもあります。既に視野・視力が悪い患児もいます。
  • 11.痙攣発作は過労や睡眠不足で生じやすいので、痙攣発作を持っている子どもさんでは、あまり疲れないように気を付けてもらいます。

 しつけを厳格にしようとして、もやもや病の子どもさんを泣かせてしまうと脱力発作を生じてしまいます。なかなかしかることができません。そのため、しつけ、教育を行う際には難しい面を持っています。しかし、15~16歳頃までの治療、しつけ、教育をうまく乗り切れますと大きな後遺症を出さずに成長されます。どうぞ頑張って下さい。もし、なんとなくおかしいと思われる高次機能障害が疑われたら、親御さんと相談され、高次機能検査を受けさせて下さい。

もやもや病…もやもや病とは

お問い合わせ:TEL:092-832-1100(代表) 受付時間:月~土曜 午前9時~午後5時