医療法人社団 高邦会 福岡山王病院

診療科・センター

胆石症センター

胆石症、胆のう炎などの症状でお悩みの方に専門的医療を提供します

食生活の欧米化と検査技術の進歩により、健診等で胆石が発見される機会が増えてきました。胆石症センターは、胆石症に対して外科的・内科的な検査や治療を専門に行う診療センターです。
苦痛の少ない治療をめざして、胆のう結石には腹腔下手術を、胆管結石に対してはお腹を切らずに治療可能な内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による切石術(※)を積極的に導入しています。また、急性胆のう炎、急性胆管炎に対する急性期治療や胆のうポリープ、胆のう腫瘍等に関する診療も実施しています。
※切石術:カテーテルや破砕器具等を使用して胆管内の結石を取り除く手技の総称

対象となる主な疾患

胆のう結石、急性胆のう炎、胆のうポリープ、胆のう腫瘍、胆管結石、急性胆管炎

主な手術・治療

腹腔鏡下手術、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による切石術

胆石症とは

一般的に胆のう内にできた胆のう結石と、胆道内にできた胆管結石の2つの総称です。
肝臓で作られた胆汁(赤血球の老廃物が混ざっている脂肪の消化を助ける働きを持つ液)は、一時的に胆のうに貯留・濃縮され、胆道を通り十二指腸に排出されます。食事をすると胆のうが収縮し胆汁を十二指腸に放出して脂肪の消化を助けます。この胆汁に含まれているコレステロールやビリルビンが結晶となり大きくなってできたものを結石といいます。

胆のう結石

胆のうは洋梨のような形をした、胆汁の水分を吸収し濃縮する臓器です。胃から十二指腸に食べ物が送られてくると、濃縮した胆汁を胆管を介して十二指腸へ送り出すために胆のうは収縮します。この胆のう内にできた結石を胆のう結石と言い、無症状の人の約10%に胆のう結石が存在し、さらにそのうちの10%程度が将来的に発作を起こす危険性があると言われています。

症状

胆のう結石があるだけでは無症状であることも多く、健診などで偶然発見されることも少なくありません。胆のう内にできた胆石が胆のうの出口にはまり込み急性胆のう炎を引き起こして、右上腹部に刺すような激しい疝痛発作を生じます。特に脂っこい食事を摂取した際に起こりやすい症状です。急性胆のう炎の状態が進行すると発熱、黄疸、肝機能障害等を引き起こすため、早急な治療が必要となります。

検査

胆のう結石のほとんどの診断は腹部超音波(エコー)検査で可能です。さらに急性胆のう炎の既往や右上腹部痛等の症状がある場合にはCT検査やMRI検査を行います。 胆のう結石の症例には、数%程度に胆のうがんが潜んでいることがあり、これらの精査も合わせて行います。

治療

胆のう結石の治療には、経口胆石溶解剤(※)や体外衝撃波破砕法(ESWL:身体の外から特殊な衝撃波を胆のうにあてて結石を小さく壊す方法)などもありますが、効果は少なく手術が選択される場合がほとんどです。急性胆のう炎への緊急処置として経皮経肝胆のうドレナージ術(PTGBD:胆のうにドレーン(管)を挿入し、胆のう内にたまった膿を体外へ排出する)を行うこともあります。
※経口胆石溶解剤:結石を溶かす作用のあるウルソデオキシコール酸(胆汁酸成分)の内服薬。6か月から1年程度にわたって内服が必要であるがその効果は低い。
手術では胆のう結石のみでなく結石発生の原因となる胆のうごと摘出します。以前はお腹を大きく切る開腹手術を行っていましたが、現在では、ほとんどの症例で数個の小さな傷(孔)のみで行う腹腔鏡下手術(腹腔鏡下胆のう摘出術)が可能です。また、胆のう結石ではありませんが、1cm以上あるポリープや短期間で大きくなってきている胆のうポリープなども症状がなくても同様の手術を行っています。

腹腔鏡下胆のう摘出術

お腹の中に炭酸ガスを注入(気腹)し、腹腔鏡というカメラを入れ、モニターに映ったお腹の中を見ながら細長い手術器具を操作して胆のうを取り出します。開腹による従来の胆のう摘出術に比べて傷が小さいため、痛みが少なく社会復帰も早いなどの利点があります。また症例に応じて単孔式腹腔鏡下手術等の傷を少なくする手術も積極的に行っています。 手術翌日から歩行・食事を開始します。通常は術後3~7日で退院が可能です。摘出した胆のうは、病理検査(顕微鏡検査)を行い、がんなどの悪性病変の有無を検査します。万が一、悪性病変が発見された場合は、進行の程度に応じて追加手術を行うことがあります。

胆管結石

総胆管から肝内胆管に存在する結石のことで、胆管内に結石がはまり込むと急性胆管炎を引き起こし、右上腹部痛や黄疸をきたします。この状態が続くと胆管の中で細菌が増殖し、発熱、黄疸、右上腹部痛、ショック、意識障害を主症状とする急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)となります。早急な治療を行わなければ死に至る場合もあります。死亡率は20%といわれる怖い病気です。

症状

無症状であっても肝胆道系酵素(主にAST、ALT、γGTP、ALP、ビリルビンなど)の異常を健診などで指摘されて発見される場合があります。前述のようなAOSCという重篤な状態となることがあるため、胆のう結石とは異なり症状がなくても治療が必要です。一般的な症状は、右上腹部痛、黄疸、発熱、肝機能障害があります。黄疸の際には尿が濃い褐色尿となり、血尿と思われて受診される方もいます。

検査

腹部超音波検査、CT検査、MRI検査等で胆管結石や胆管拡張の存在を確認します。 肝胆道系酵素高値(AST、ALT、γGTP、ALP等)も診断の手がかりとなります。

治療

胆管結石の治療は、胆管内の結石を除去することを目的とします。当センターでは内視鏡的逆行性胆道膵管造影法(ERCP)による胆管結石除去術を第一選択としています。

内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による胆管結石除去術

内視鏡(胃カメラ)で胆管および膵管の開口部である十二指腸乳頭から造影剤を入れ、胆管・膵管を造影する検査です。総胆管結石の治療や膵臓がん等の診断を行うことができます。胆管内の小さい結石は、バスケットカテーテルで十二指腸内へ引き抜きます。大きな結石の場合は機械式砕石バスケットで結石を破砕して採石します。
この方法では十二指腸カメラで胆管結石を取り除くため、お腹に傷を作らず術後の痛みも少なくて済みます。内視鏡的胆管結石除去ができない場合は、手術が選択される場合もあります。

よくあるご質問

患者様のご質問の中から特に多いものをまとめました。

Q.胆石症になりやすい年齢は?若くても胆石症になるのですか?

40代から多くなり高齢者になるほど見つかる確率は高いようです。しかしながら10代~20代でも見つかることもそれほど珍しくはありません。症状がなく人間ドックなどの健診でたまたま見つかることが多いため、健診を受ける年齢と関係があるのかもしれません。また、欧米化した食生活が主体となった日本では、若年者の症例が増えてくる可能性も示唆されています。

Q.症状としてお腹が痛くなるのは右側のみでしょうか?

胆のうや胆管はお腹の右側にあるため、主にお腹のみぞおちから右上腹部の痛みで始まることが多く、痛みは右肩や右背中にまで広がることもあります。

Q.胆のうは取っても大丈夫なのですか?

胆のうを取っても日常生活で問題となることはありません。胆汁(脂肪の消化を助ける働きを持つ赤血球の老廃物の混じった液)は肝臓で生成されるため、胆汁が出なくなることはありません。胆のうは胆汁を一時的に貯留・濃縮する働きを持っていますが、胆のうがなくても通常の食生活において障害となることは、ほとんどないとされています。

Q.手術にかかる時間はどのくらいですか?

通常、腹腔鏡の手術で1時間~2時間、開腹の手術で2時間前後が目安となります。 ただし、お腹の手術を受けたことがある場合や、胆のうの炎症が強い場合は2倍以上の時間がかかる場合もあります。

Q.傷あとは残りますか?

腹腔鏡の手術を行った場合は5mm~12mm程度の手術の傷あとが約4か所できます。傷あとは時間の経過とともに目立たなくなり、数年経つと人によっては全く傷あとが分からなくなることもあります。ただし、皮膚の治癒能力には個人差がありますので一概には言えません。

Q.どうしても手術を受けたくない場合の有効な治療法は?

胆のう結石の治療には経口胆石溶解剤や体外衝撃波破砕法(ESWL)などを行っていた時代もありましたが、効果が少ないため現在では手術が選択される場合がほとんどです。症状がなければ手術せずに経過観察することも可能ですが、胃痛だと思い込んでいたら実は胆石の痛みだったということもありますので、検査を受けて相談されることをおすすめします。

Q.胆石症にならないために予防法はありますか?

胆石ができる一番の原因は食生活です。特に脂肪やコレステロールを多く含む食べ物を摂取することにより、代謝が悪くなり胆石ができやすくなるとされています。脂質の摂取を控え、バランスのよい食生活を心がけることが重要です。