機能脳神経外科センター
てんかんやパーキンソン病などに対して、特殊な脳神経外科手術を行っています
また、当院では視床下部過誤腫という稀少な疾患に対して国内で随一の診療を行っており、全国、海外から広く患者様を受け入れています。
診断や手術適応の判断が非常に重要であり、てんかん・すいみんセンター、脳神経内科医と十分な協議を行っています。
- 連絡先
- TEL.092-832-1100(代表)
TEL.092-832-1226(予約専用)
対象となる疾患
てんかん(視床下部過誤腫を含む)
パーキンソン病、ふるえ、ジストニアなどの不随意運動性疾患
など
手術の特徴
低侵襲(小さな傷口)で正確な治療が可能な定位的脳手術という手技を用い、病気の原因となる部分の治療を行います。当院では、九州初のロボット支援装置(ROSA)を導入し、定位脳手術を効率化し、より正確に行うことが可能になっています。さらに、国内では初となる術中確認装置(O-arm)との組み合わせにより、より高い精度を担保できるようになっています。この手技を用いて、次のような低侵襲な機能脳神経外科が可能となります。
定位温熱凝固術
小さな傷(通常4〜5cm)から頭蓋骨に15mmほどの穴を開け、そこから熱凝固電極を差し込み、通電して脳組織の熱凝固破壊を行います。電極の先端に5mmくらいの大きさの熱凝固巣ができるので、必要な範囲に合わせて複数回の熱凝固を行うことにより、通常の開頭手術では到達が難しいような場所にも、正確で必要な範囲の脳組織破壊が可能となります。これまで視床下部過誤腫という難病に対し優れた効果を発揮することを示してきましたが、当院ではロボット支援装置のおかげもあり、その他のさまざまなてんかんにも応用しています。
定位的頭蓋内脳波(ステレオ脳波)植込術
てんかんの患者様の手術を行うときに、どの範囲の脳がてんかんに関わっているのか(てんかん焦点)を細かく知るために、脳から直接脳波を測定(頭蓋内脳波)することがあります。以前は、広い範囲の開頭手術を行って、脳の表面に脳波電極シート(硬膜下電極)を敷いて調べることが一般的でした。当院では、開頭手術を行うことなく、定位脳手術により2mmくらいの穴から細い針状の脳波電極を差し込む定位的頭蓋内脳波を行うことができるようになりました。これにより、硬膜下電極よりはるかに低い侵襲度で、かつ硬膜下電極では見ることのできなかった、脳の奥深い場所の脳波も見ることができるようになります。
脳深部刺激療法
パーキンソン病などの不随意運動に対して、脳の深部にある神経核を電気刺激する治療法です。従来からある定位脳手術の手技を用いて行われ、数mm単位の神経核に正確に刺激電極を挿入しなければならない手術ですが、これもロボット支援下の定位脳手術により、さらに高い精度で行うことができるようになります。最近では、てんかんの治療にも適応されるようになり、切除手術や定位温熱凝固術が難しいような薬剤抵抗性てんかんに対しても行うことがあり、その適応は広がっています。
その他の手術
これらの低侵襲な外科治療では治療困難と考えられるような場合には、従来からの開頭手術による治療を行うこともありますし、迷走神経刺激療法を行うことも可能です。